
血液内科にいくとよく目にするポスターがある。 骨髄バンク登録を呼びかける本田美奈子さんのポスター。
急性骨髄性白血病で2005年の暮れになくなった本田美奈子さん。
本屋さんでぶらぶらと過ごしているとちょうど彼女の本が目に入ったので、立ち読みしてしまった。
本の最後に「Wish」という歌の歌詞がのっていて、その歌詞を読んで泣きそうになった。
「Wish」
ささやかな幸せと 好きな歌を信じて
心おだやかな朝
書き出した手紙
いまはすべて 輝く
いまがすべて 眩しいほどに
駆け回るこどもなら
素直に感じること
風が気持ちよいこと
ただ忘れていた
日々はすべて 生まれる
日々はいつも 新しくなる
あたりまえのことばたち
「ありがとう」も「おはよう」も
あたりまえの ことばかり
美しく思える そんな日がある
振り向けば そばにいて
おしゃべりして
笑って ひとにつながりながら
いま生きていること
時はそっと教える
時がきっと愛おしくなる
あたりまえに 来る朝も
光る海も 雨の街も
あたりまえの ことなのに
かけがえのない日々
生きる意味は 生きること
探しながら 迷いながら
生きるために 生きること
かけがえのない日々
ただ抱きしめて
いま そこにある幸せを・・・・
「生きるために 生きる」という言葉がとても心に響いた。
苦しみの中で生き抜くために、そして最後の苦しみを乗り越えようとした人の言葉だと思った。
よく早く死んでしまいたい。命を絶ってしまいたいと訴えてくる患者さんがいる。実際、病気を抱えながら生きている患者さんはすごいと思う。私だって、あのような苦しみを抱えてたら、死にたいって思うに違いない。
患者さんの訴えに共感するということは大切な看護の一つ。 けれど彼等の苦しみを考えようとすると、そのあまりの大きさに、どこかで彼等の苦しみを共感しようとする自分をシャットアウトしないと毎日の業務をやっていけそうにない時もある。
でも夜勤で時間の空いているとき、時々、そういった訴えをしてくる患者さんの部屋にいって、話を聞いて、そして私の見てきた、生き抜いた人たちの話をする。その人の生き様、死に様をほんの少し。
生きることはつらいし、苦しい。
けれど、途中で投げ出さず、ただ生き切るという事は、本当にすごいこと。
生きているだけでも、何かしら得るものがあるということ。そして生き抜いた人の顔は本当にきれいで、輝いていたということ。
ただそれだけを話す。
彼等の苦しみを味わってもいない私がこんなことを言うのもおこがましいのかもしれない。でも苦しみの中で生きるためには目的が必要だ。その目的を与えようともせずに、ただ生きることを求めることの方が残酷なような気がして話さずにはいられなかった。
「生きるために 生きる」ということは素晴らしい目的だと思う。
実際生き抜いた人たちから感じる、時の輝き、命の輝き・・・それを確かに感じてきたから。
「人はみんな生きるために生まれてくる。だけど、さまざまな困難に直面したとき、人は悲しみに打ちのめされ、絶望してしまう。でもあきらめないでほしい。希望を失って立ち止まってもいい。でもゆっくりでいいから、もう一度勇気を出して、前を向いて歩き出そう。だってあなたはそのいのちを輝かせるために、生まれてきたのだから」
聞く人によっては、甘っちょろい戯言にも聞こえるかもしれない言葉。けれど、私にはとっても響いた。 やっぱり生き抜いた人の言葉だから。
命の輝き・・・そう、私は人の命を輝かせるための援助ができるナースになりたいな。
そのためには、まずは、自分がきちんと生きなければね^^。
私の命を輝かせてくださる方につながりながら。
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